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共同企画講義「(カタストロフィ)を生きる─地域文化研究から見る災いの経験」

〈カタストロフィ〉を生きる──地域文化研究から見る災いの経験

企画責任者の氏名(所属先・職名)
西芳実(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)

企画の概要
講義題目:〈カタストロフィ〉を生きる──地域文化研究から見る災いの経験
概要:本講義では、セルトーが言う意味での「異(い)なるもの」の噴出を〈カタストロフィ〉として捉え、ある特定の地域、特定の時代における社会が、みずからの期待可能性を裏切り、擾乱するものとして現出する〈カタストロフィ〉をどのように経験したのか、そしてその後の日常的秩序の再構築をどのように行い、それをどのような復興の過程として経験したのかを、地域文化研究という領域から考察する。
〈カタストロフィ〉といっても、自然の要因に大きく影響される大規模自然災害から、人為的な要因が重点を占める戦争・紛争・内戦まで、その現れ方はさまざまである。また、対象とする地域や時代によって、〈カタストロフィ〉にアプローチする道筋も一通りではない。だが、〈カタストロフィ〉が、等身大の身近な生活世界を超えたところから、不測のものとして襲いかかるのであるとするなら、わたしたちが今現在において経験している〈カタストロフィ〉を理解するためにも、人類がこれまで経験してきた〈カタストロフィ〉がいかなるものであり、それを人類がどのように乗り越えて(思想的に、また実践的に)きたのかを探ることは、喫緊の課題であるといえよう。本講義ではこのような趣旨にもとづき、複数の地域と時代、ならびに学問分野から、学際的に〈カタストロフィ〉にアプローチする。
   JCASとの共同企画により、多様な専門性をもつ講師陣が、学術研究と現場実践の双方における最先端の取り組みをオムニバス形式で紹介する。一通り講義が終了したのち、総合討論とまとめの回を設ける。また、最終週の授業回は定期試験に当てる。
  東京大学担当教員:森山工(東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻)

2011年度冬学期 前期課程総合科目「平和構築論」

担当教員:森山 工

〈カタストロフィ〉を生きる─地域文化研究から見る災いの経験

日程 講師/所属 講義題目
10月7日 【ガイダンス】
10月14日 牧 紀男/京都大学防災研究所 東日本大震災と地域の再建 東日本大震災と地域の再建
10月21日 山本博之/京都大学地域研究統合情報センター 災害対応における「ぬいしろ」と「つながり」―スマトラの地震・津波災害を例として
10月28日 山本理夏/特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン 東日本大震災の経験―NGOの視点から
11月4日 本村凌二/地域文化研究専攻 ポンペイ最後の日
11月11日 西 芳実/京都大学地域研究統合情報センター 紛争の記憶・災害の記憶―死者の弔いから考える
11月18日 森山 工/地域文化研究専攻 被植民地化というカタストロフィ―旧フランス植民地の経験から
12月2日 鈴木啓二/地域文化研究専攻
数森寛子/共生のための国際哲学教育センター(UTCP)
文学はカタストロフィを描きうるか―ヴィクトル・ユゴーの場合
12月9日 網野徹哉/地域文化研究専攻 カタストロフィとしてのアンデス征服
12月16日 三谷 博/地域文化研究専攻 カタストロフィの予測と記憶―日本から環太平洋・世界へ
1月10日 福武慎太郎/上智大学外国語学部 紛争後の混乱期における難民理解のバイアス―東ティモールにおける住民投票後の騒乱と難民問題を事例に
1月20日 東 大作/国際社会科学専攻 トラウマを超え社会変革を目指す人々―犯罪被害者と戦争被害者の調査から
1月27日 【試験】