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JCAS : Japan Consortium for Area Studies

地域研究コンソーシアム 第14回運営委員会議事録

日時:2007年2月8日 14:00〜17:00
場所:京大地域研 会議室
出席:赤嶺淳、阿部健一、押川文子、飯塚正人、河野泰之、柴山守、瀬川昌久、染田秀藤、 兎内勇津流、西井凉子、藤田幸一、柳澤雅之、山本博之
オブザーバー:家田修、林行夫、田中耕司、石井正子

配布資料

1.議題案
2.今年度の活動報告(各担当)
3.JCAS規約

1.メール会議による決定事項の確認

飯塚委員より、(1)地域研究次世代ワークショップの採択承認、(2)第3回現代アジア学次世代国際研究大会―多様性の共同体を問う―の共催、(3)地域情報学研究会・情報資源共有化研究会ほか主催合同シンポジウムの開催承認の3件に関してメール会議の結果について説明があり、それぞれ決定事項が確認された。

2.活動報告(各担当より)

前回の運営委員会以降の活動に関して、各担当より特に報告事項はなされなかった。

3.今年度の活動報告

配布資料をもとに各担当委員より説明があり、以下のように質疑応答がなされた。
(1)運営委員会
共催のあり方に関して、学会の年次大会の開催などで共催のニーズがあるため共催プログラムをなくすことはしないこと、共催の問い合わせがあった際に個別に対応すること、共催について周知のしかたを検討することが確認された。
(2)年次集会
特に質疑応答なし。
(3)英文ジャーナル
英文ジャーナルのあり方について検討中であることが報告され、毎年何編かの地域研究の成果を選んで英語に訳して国外に発信することなどが検討された。 検討の過程で、JCASが奨励賞を授与し、受賞論文を英訳して刊行してはどうかとの案が出された。これを受けて、奨励賞と英文ジャーナルをリンクさせるかどうか、また、地域研究の分野の多様性を考慮して審査の公平性や透明性をどう確保するかなどについて意見が出された。奨励賞については別に検討することとし、英文ジャーナルについては、紙媒体でなくHPでの発信という形態を含めて、引き続きそのあり方を検討することとなった。
(4)ニューズレター、HPリニューアル
HPのリニューアルを進めており、業者を選定して3月をめどに枠組作りの作業中であること、ただし枠組ができた後にデータを入れる必要があるため、実際の公開は4月以降になる見込みであることなどが報告された。 HPに掲載するJCAS関係の出版物一覧のデータ入力に関して、基本的に各加盟組織にデータ提出を求める方向で考えているが、はじめのうちはJCASで情報を集めて入力することも検討していると担当委員より補足説明があった。
(5)次世代育成
次世代ワークショップでは、以下の各点が指摘された。
・応募数が予想を超えて多く、ニーズの高さを実感したこと。
・今年度は海外からの招へいを認めたが、海外方の招へいを含めると金額が大きくなるため、来年度からは海外からの招へいを認めずに1件当たり40万円を上限とすることを検討している。
・予算執行に関する書類作成の手順等を学ぶという意味でも、申請者の中に書類作成でアドバイスするシニアを1人入れておくべきではないかと考えている。
・来年の公募は早めに行う。
(6)情報資源共有化研究会
今年度は2回の研究会を開催し、さらに運営委員会翌日から2日間のシンポジウムを計画していること、海外調査に関しては報告書を取りまとめ中であることなどが補足説明された。
(7)地域情報学研究会
資料を飯塚委員が代読した。特に質疑応答はなかった。
(8)社会連携研究会
大阪大学のニーズ対応型地域研究プロジェクトによる「共生ワークショップ」の実施に関して、JCASとニーズ対応型プロジェクトとの関係をどう捉えればよいかとの質問が出された。ニーズ対応型プロジェクトについては、申請段階からJCASの社会連携研究会が中心的役割を担っており、これまでJCAS運営委員会でもそのように扱われてきたことが確認されたうえで、ニーズ対応型プロジェクトの実施責任主体が大阪大学であることから、JCASとの関係を明確にするため、ニーズ対応型プロジェクトの実施事業はすべてJCASが共催することが確認された。
(9)情報発信改革WG
WGの設置時に予定されていたミッションが遂行されたため、本WGは解散された。
(10)事務局
特に質疑応答はなかった。

以上の議論を踏まえて運営委員長が年次活動報告を取りまとめ、理事会に提出することとなった。

4.次期事務局長の指名について

山本委員の運営副委員長(事務局長を兼務。以下、運営副委員長兼事務局長を「事務局長」とする。)としての任期が今年3月末日で満了することを踏まえ、規約第7条第4項および附則第2項に基づき、西井運営委員長が次期事務局長として林行夫氏(京大地域研)を指名した。 林氏は運営委員ではないため、理事会による林氏の運営委員任命手続きを経て、林氏が2007年4月1日付けで運営委員となり、同日付けで事務局長に就任する。事務局長の任期は2年間。林氏の運営委員としての任期も2007年4月1日より2年間とする。山本委員は、事務局長でなくなった後も、運営委員としての2年間の任期が切れる2008年3月31日まで運営委員を務める。

5.各作業部会・研究会の来年度の活動計画について

(1)運営委員会
全体的な方針として以下の各点が挙げられた。
・HPのリニューアルを通じて情報発信が強化されることが期待されるが、HPの枠組ができたとして、その中にどのような情報を入れ、どのように充実させていくかが重要となる。そのためには、できる限り各加盟組織の協力を得てコンテンツを充実させていく必要がある。
・JCASの事業予算に関連して大学間連携で予算要求を行うことが検討されている。
・今年の3月を皮切りに、21世紀COEプロジェクトが順次終了の時期を迎えるので、その扱いをどうするかという問題が生じる。これについては理事会での検討を求める。
(2)年次集会
まず、来年度は高倉委員を加えて2人体制にすることが提案され、承認された。
次に年次集会の内容に関して、いかにして加盟組織をひきつけていくかが課題であることが確認され、以下の意見が出された。
・年次集会の開催成果をどのように記録・公表するか。録音してHPでダウンロードできるようにすることは考えられないか。
・年次集会の形態として、現在の研究集会型のほかに親睦会型やエクスカージョン型などの形態が考えられる。JCASとして何をするかが求められている。
・上述の奨励賞の授賞式を年次集会で行ってはどうか。
(3)英文ジャーナル
引き続き英文ジャーナルのあり方について検討されることとなった。
(4)ニューズレター、HPリニューアル
ニューズレターは年間に2号を発行する計画であること、HPはJCASに加盟したメリットが実感できるようなものを作るよう目指すことが担当委員より説明された。これに関して以下の意見が出された。
・HPの試作版ができたら運営委員会に紹介し、完成版を作る前に運営委員会の意見を求めてほしい。
・各ワークショップの結果をHPに掲載してはどうか。
(5)次世代育成
地域言語ワークショップに関連して以下の質疑があった。
・受講者は多ければ多いほど好ましいのかとの質問に対して、各言語にどれだけニーズがあるかをどう判断するかは難しいが、1つのコースにつき5人程度が妥当な規模ではないかと考えられるとの回答がなされた。
次世代ワークショップに関連して以下の質疑があった。
・幹事組織がそれぞれ公募する研究テーマを設定し、それぞれ該当する幹事組織が経費を負担するという形で実施すれば採択できる件数も増えるのではないか。 この意見に対しては、今年度の次世代ワークショップに応募したが採択されなかった申請に対し、研究テーマに関係する幹事組織が別の枠組で研究助成を行った例があることが報告された。
(6)情報資源共有化研究会
特に質疑応答はなかった。
(7)地域情報学研究会
担当委員より以下の補足説明がなされた。
・地域研究における情報学の導入の起爆剤にしたい。
・情報資源の共有化とどのように接合させるかが課題である。
・関連する科研費の基盤Sのプロジェクトで冊子1000部を作成して配布したが、紙媒体で配布すると宣伝効果がとても高いことが実感された。
・東大の空間情報科学研究センターのような、この分野でよく知られた研究機関にもJCASに加盟してもらいたい。
(8)社会連携研究会
地域研究者ディレクトリの作成については、利用する実務家側のニーズを調査する必要があるために目下研究会を実施していることが担当委員より説明された。
(9)事務局
HPのリニューアルを通じた情報発信の更なる強化を図るため、事務補佐員を1人増やして2名にする計画であることが説明された。
事務局に対し、今年度のJCASの事業予算について、どの組織からどの事業に対していくらずつ出ているかを集計してほしいとの要請があった。

以上の議論を踏まえ、来年度の活動については、JCASをどのように認知させるか、また、JCASに加盟することのメリットをどのように加盟組織に提示するかが課題であることが確認された。 各委員の担当分野以外の活動として、委員より、地域研究コミュニティを代表して地域研究の今日的な研究課題をJCAS加盟組織や他の研究・教育組織に助言するような働きをする研究プロジェクト構想部会をJCAS内に作ることが提案された。これに対し、JCAS自体が研究プロジェクトを進めるようなプログラムはうまくいかないというのが前年度までの反省ではなかったのかとの意見が出たが、プロジェクト構想部会は研究課題を提案するだけで研究プロジェクトの実施主体とはならず、この部会の提案を受けて研究を実施するのは各加盟組織なのでJCASの負担は大きくないとの意見が出された。また、全国共同利用型の研究施設では地域研究コミュニティの要請を受けて研究構想を立てる必要があることから、JCASが研究プロジェクト構想部会を持つことへのニーズがあることが指摘された。 この提案に対しては、「旬の研究課題」(地域研究戦略)と仮に名づけ、先に提案がなされた「奨励賞」とあわせて、実施に向けて検討することとなった。

6.地域研究次世代ワークショップの広報手順について

飯塚委員より、地域研究次世代ワークショップの広報手順が定まっていないとの指摘がなされた。これについて事務局より、昨年度までは地域研究次世代ワークショップの研究計画が採択された際に申請者には広報協力依頼などを行うよう指示が与えられていたが、今年度は連絡が不十分だったために広報協力依頼の手順で混乱が見られたとの説明がなされ、今後は次世代育成部会と事務局の間で十分に連絡をとって対応することが確認された。

7.学術会議と今後の連携のあり方、学術会議の提言への関わり方について

(1)家田会長より、学術会議に地域研究の部門が設置され、そのメンバーとして家田会長が加わっていることが説明された上で、地域研究を推進する上でJCASとしてはどのようなことが考えられるのか、また、地域研究の成果を社会に還元する方法としてどのようなことが考えられるかについて、特に相対的に意見が反映されにくい若い人たちの意見を寄せてほしいとの要請がなされた。 これに関して、家田会長からの要請文をもとに加盟組織宛MLを通じて各加盟組織に回答を求めることとなった。また、運営委員会では担当ごとに各委員が意見を取りまとめ、運営委員会MLに流すこととなった。(おおむね3月中を目途に意見を寄せていただきたいが、2月中にいただければ、3月2日のシンポジウムで議論できるのでなお可)
(2)家田会長より、JCASに学術会議の協賛団体となってほしいとの要請があったことが紹介された。これについては理事会での処理を求めることになった。

8.その他

(1)次回以降の運営委員会の会場について
京都での開催は飛行機を利用する場合に不便なので運営委員会はすべて東京で開催してはどうかとの意見が出された。運営委員の在住地域を見ると、関西圏在住が東京圏在住のほぼ倍であり、運営委員会をすべて東京で開催するのは現実的でないとの意見が多数を占めた。運営委員会は年次集会の当日に開催される1回を含めて年間4〜5回開催されていることから、原則として東京と関西(京都・大阪)で交互に年2回ずつ開催し、その間に年次集会開催時の運営委員会を挟むという形で開催することが承認された。
(2)来年度の活動について
来年度の活動については、今年度の部会・研究会は基本的に活動方針・担当委員ともに今年度のものを維持した上で、将来プログラム検討WGを新たに発足させ、奨励賞および地域研究戦略の2つの課題について検討することとされた。将来プログラム検討WGは、河野(座長)、飯塚、山本、柳澤(さらに本人の承諾を得た上で岩下)の各委員から構成される。 また、来年度の新しい研究会として地域研究方法論研究会を設置することが提案され、承認された。メンバーは、山本(代表者)、赤嶺(さらに本人の承諾を得た上で高倉)の各委員を中心に広く呼びかけて構成する。この研究会の活動成果を年次集会のテーマにしてはどうかとの意見に対しては、いずれ年次集会等で幅広い人々の検討を仰ぎたいが、来年度の年次集会に直ちに結びつくかどうかは実際に活動しないと確かなことは言えないとの回答がなされた。

9.今後のスケジュール

 年次集会開催時のものを除いて運営委員会は東京と関西で交互に行うとの合意に基づき、次回運営委員会は東京で開催する。4月20日の午後3時から午後6時まで、キャンパス・イノベーションセンター東京地区の303号室で行う。会場の予約は事務局で行う。